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【保存版】鮭の日とは?11月11日の意味や由来、旬の鮭の栄養を解説
食卓の名脇役として知られている鮭。そんな鮭の記念日『鮭の日』をご存じですか?多くの人に愛される魚ですが、記念日についてはあまり知られていないかもしれません。 この記事は、以下のような疑問や関心をお持ち ...
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食卓でおなじみの「鮭」。でも、その隣に並ぶ「サーモン」との違いを、はっきりと説明できますか?「英語か日本語かの違いでしょ?」と思いきや、実はそこには食の安全性にも関わる、大きな違いが隠されているんです。
さらに、あの鮮やかなオレンジ色の身が、実は「白身魚」だという事実も!この記事では、そんな鮭にまつわる意外で面白いトリビアを、わかりやすく解き明かしていきます。
この記事を読み終える頃には、あなたはきっと「鮭博士」に一歩近づいているはずです。
- 「鮭」と「サーモン」の明確な違い
- 生で食べられるのはどっち?その理由
- 鮭の身が赤いのに「白身魚」とされる本当のワケ
- 鮭が持つ驚きのナビゲーション能力の秘密
さあ、知っているようで知らなかった、奥深い鮭の世界を一緒に探検してみましょう!
鮭とサーモンは別物?実は白身魚という驚きの事実
お寿司屋さんやスーパーでよく見る「鮭」と「サーモン」。呼び方が違うだけで同じ魚だと思っていませんか?さらに、あの鮮やかなオレンジ色の身が、実は白身魚だという事実も!
ここでは、そんな鮭にまつわる意外な事実を、わかりやすく解き明かしていきます。
結局なにが違うの?「鮭」と「サーモン」の境界線
「鮭とサーモンって、英語か日本語かの違いでしょ?」と思っている方は多いかもしれませんね。実は、日本の市場ではこの2つは明確に区別されて流通しているんです。
一番大きな違いは、生で食べられるかどうかという点にあります。この違いが生まれる背景には、育った環境やエサが大きく関係しています。
一般的に「鮭」として売られているのは、主に日本の川で生まれ、自然の海を回遊して育った天然ものです。天然の鮭は、エサとしてオキアミなどの甲殻類を食べています。このオキアミには、アニサキスという寄生虫がいる可能性があり、それを食べた鮭の体内にもアニサキスが寄生していることがあるのです。
アニサキスは加熱すれば死滅しますが、生で食べると激しい腹痛などを引き起こす食中毒の原因になるため、天然の鮭は基本的に加熱調理が必須とされています。焼き鮭や鍋物に使われるのはこのためですね。
一方、「サーモン」として売られているのは、その多くがチリやノルウェーなどで養殖されたものです。管理された環境で、寄生虫の心配がないペレット(配合飼料)を食べて育つため、アニサキスが寄生するリスクが極めて低いのが特徴です。
そのため、お寿司やお刺身、カルパッチョなど、安心して生で楽しむことができるのです。つまり、私たちが回転寿司などで食べているのは「サーモン」というわけですね。
この違いを表にまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 鮭 (Sake) | サーモン (Salmon) |
|---|---|---|
| 主な生育環境 | 天然(海を回遊) | 養殖(管理された環境) |
| 主な食用方法 | 加熱調理が必須(焼き魚、鍋など) | 生食が可能(寿司、刺身など) |
| 寄生虫リスク | アニサキスの可能性がある | 可能性は極めて低い |
| 代表的な種類 | 白鮭、紅鮭、銀鮭など | アトランティックサーモン、トラウトサーモンなど |
このように、生物学的には同じサケ科の魚でも、食文化や流通の上では「天然・加熱用」のものを「鮭」、「養殖・生食用」のものを「サーモン」と呼んで区別しているのが日本の現状です。
ただし、これはあくまで一般的な区別であり、例外も存在します。次にスーパーで魚を選ぶときは、この違いを意識してみると面白いかもしれませんね。
身が赤いのに「白身魚」に分類されるのはなぜ?
サーモンピンクとも呼ばれるあの美しいオレンジ色の身を見ると、誰もが「鮭は赤身魚でしょ?」と思ってしまいますよね。
しかし、驚くことに、魚類学上では鮭はタイやヒラメと同じ「白身魚」に分類されるんです。一体どうしてなのでしょうか。
その謎を解く鍵は、魚の筋肉の性質にあります。魚の身が赤身か白身かは、見た目の色ではなく、筋肉に含まれる「ミオグロビン」という色素タンパク質の量で決まります。
- 赤身魚(マグロ、カツオなど)
大海原を長時間泳ぎ続ける回遊魚です。持久力が必要なため、筋肉に多くの酸素を蓄えておく必要があります。この酸素を貯蔵する役割を持つのがミオグロビンで、鉄分を含んでいるため赤い色をしています。このミオグロビンを筋肉中に豊富に含むため、身が赤く見えるのです。いわば、長距離ランナーのような筋肉(遅筋)を持っている魚です。 - 白身魚(タイ、ヒラメなど)
普段はあまり動かず、獲物を捕らえる時などに瞬発的に速く泳ぐ魚です。長時間の運動はしないため、筋肉に酸素を大量に蓄えておく必要がありません。そのためミオグロビンの含有量が少なく、身が白く見えます。こちらは、短距離ランナーのような筋肉(速筋)を持っている魚と言えます。
では、鮭はどうでしょうか。鮭も海を回遊しますが、実は分類上は瞬発力に優れた「速筋」の割合が多い白身魚の仲間なのです。では、なぜ身が赤いのかというと、その理由は彼らが食べているエサにあります。
鮭は、オキアミやエビといった甲殻類を主食にしています。これらの甲殻類には「アスタキサンチン」という赤い天然色素が豊富に含まれており、鮭はこれを食べることで色素を体内に蓄積していきます。
このアスタキサンチンが筋肉に沈着することで、鮭の身はあの鮮やかなオレンジ色になるのです。つまり、鮭の赤色は筋肉由来の色ではなく、食事由来の色だったというわけです。
もし鮭がアスタキサンチンを含まないエサを食べて育ったとしたら、その身はタイのように白くなるんですよ。
鮭の不思議な一生!故郷の川へ帰るミステリー
川で生まれた鮭が、何年も大海原を旅したあとに、再び故郷の川を目指して帰ってくる。この壮大な旅は「母川回帰(ぼせんかいき)」と呼ばれ、多くの謎に満ちています。
数千キロも離れた場所から、なぜ迷わずに帰れるのでしょうか。ここでは、そんな鮭のドラマチックな一生と、いまだ完全には解明されていない帰巣本能のミステリーに迫ります。
遥かなる旅路!川での誕生から大海原への大冒険
鮭の命は、日本のきれいな川の上流で、砂利の中に産み付けられた小さな卵から始まります。この壮大な物語は、いくつかの段階を経て進んでいきます。
- 孵化と成長
秋から冬にかけて、川底でひっそりと孵化した稚魚は、お腹についた栄養の袋(ヨークサック)から養分をもらいながら成長します。春になり、自分でエサをとれるようになると、川の流れに乗って少しずつ海へと向かい始めます。 - 銀化(スモルト化)
海に下る直前、鮭の稚魚の体には大きな変化が起こります。ウロコが銀色に輝き、体は海水に適応できるように変化するのです。この現象を「銀化(ぎんけ)」または「スモルト化」と呼び、大海原への旅立ちの準備が整った証拠です。この時期に、故郷の川の匂いを記憶に焼き付けていると考えられています。 - 大海原での生活
海に出た鮭は、オホーツク海やベーリング海、アラスカ湾といった栄養豊富な北の海を目指して大回遊を始めます。そこでオキアミや小魚をたくさん食べて、数年間かけて大きく成長します。この時期の鮭は、銀色に輝く美しい姿をしています。 - 故郷への帰還
そして、産卵の時期が近づくと、鮭は故郷の川を目指して再び長い旅を始めます。川に戻ってからの鮭は、エサを一切食べなくなり、体に蓄えた栄養だけを頼りに川を遡上します。この過酷な旅の間に、オスは背中が盛り上がり、顔つきが険しくなる「ブナ化」という変化を見せます。そして、故郷の川の上流にたどり着いた鮭は、最後の力を振り絞って産卵し、その一生を終えるのです。
故郷の匂いを覚えている?母川回帰の謎に迫る諸説
数千キロも離れた広大な海から、どうやって自分の生まれた川を正確に見つけ出すことができるのでしょうか。この驚くべき能力の仕組みは、まだ完全には解明されていませんが、いくつかの有力な説が提唱されています。
最も有力とされているのが「嗅覚刷り込み説」です。これは、鮭が海へ下る際に、故郷の川の特有の匂い(水に含まれるアミノ酸や土壌、植物の成分など)を記憶し、帰ってくる時にその匂いを頼りに川を遡るという説です。
実際に、鼻をふさいだ鮭は故郷の川に戻れなくなるという実験結果もあり、この説を強く裏付けています。しかし、広大な海の中で、どうやって川の匂いがする沿岸までたどり着くのでしょうか。
そこで、他の能力も組み合わせて使っていると考えられています。
| 説の名前 | 内容 | 役割 |
|---|---|---|
| 嗅覚刷り込み説 | 川の特有の匂いを記憶し、それを頼りに遡上する。 | 沿岸に到着後、目的の川を特定する。 |
| 太陽コンパス説 | 太陽の位置を基準にして、自分の進む方角を知る。 | 晴天時の大海原でのナビゲーション。 |
| 地磁気コンパス説 | 地球の磁場を感じ取り、体内コンパスで方角を知る。 | 曇天時や夜間の大海原でのナビゲーション。 |
これらの説から、鮭は海を回遊している間は太陽や地磁気を利用して大まかな位置を把握し、故郷の沿岸近くまで来ると、記憶していた川の匂いを頼りに最終的な目的地を目指すのではないか、と考えられています。
つまり、鮭はひとつの能力に頼るのではなく、複数のナビゲーションシステムを使い分ける、非常に優れた航海士なのかもしれませんね。この驚異的な能力の全貌が解明される日も、そう遠くないかもしれません。
まとめ
今回は、鮭にまつわる様々なトリビアをご紹介しましたが、いかがでしたか?この記事で解説したポイントを、最後におさらいしておきましょう。
- 鮭とサーモンの違い
一般的に、天然で加熱用のものが「鮭」、養殖で生食用のものが「サーモン」と区別されています。これは、寄生虫のリスクの違いが主な理由です。 - 赤い身なのに白身魚
鮭の身の赤さは、筋肉の色ではなく、エサとして食べる甲殻類に含まれる「アスタキサンチン」という色素によるものです。筋肉の性質からは、タイやヒラメと同じ白身魚に分類されます。 - 不思議な母川回帰
鮭は、川の匂いを記憶する「嗅覚」と、太陽や地磁気を頼りにするナビゲーション能力を駆使して、数千キロ離れた海から故郷の川へと帰ってきます。
これらの知識があれば、スーパーで魚を選ぶときや、食卓で家族と話をするときに、きっと新しい発見や楽しみ方が見つかるはずです。
身近な食材の裏に隠された壮大な物語に思いを馳せながら、これからも美味しく、そして賢く、鮭を味わってみてくださいね。
