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トノサマバッタの相変異とは?トリビアで学ぶ孤独相→群生相の仕組み

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草むらでピョンと跳ねる、おなじみの昆虫「トノサマバッタ」。その名前の通り、まるで昆虫界の殿様のような風格を持っていますが、実は私たちが思っている以上に、たくさんの面白い秘密を隠し持っているんです!

「ただの大きいバッタでしょ?」なんて思っていたら、もったいないですよ。

この記事は、こんな風に感じているあなたにピッタリです!

  • トノサマバッタの面白い豆知識を手軽に知りたいな
  • 子どもに「なんでそんなに飛ぶの?」って聞かれて、うまく答えられなかった…
  • 友達に「へぇ!」って言わせるような、ちょっと変わった雑談ネタが欲しい!

この記事を最後まで読めば、トノサマバッタの驚きの生態や、意外な一面がまるわかり

まるでヒーローみたいな身体能力の秘密から、周りの状況で姿を変えちゃう不思議な「変身」能力、そして、昔の日本を揺るがした大事件や、あの国民的ヒーローとのつながりまで。

明日誰かに話したくなる、トノサマバッタのトリビアの世界へ、さあ一緒に出かけましょう!

スーパーヒーロー級?体長の20倍飛ぶ驚異の跳躍力

「殿様」の名にふさわしく、トノサマバッタは昆虫界のスーパーアスリート!その小さな体からは想像もつかないほどのパワーを秘めています。

特に有名なのが、自分の体の何十倍もの距離を跳ぶ驚異のジャンプ力。ここでは、そのスーパーヒーロー級の能力の秘密に、一緒に迫ってみましょう!

後ろ脚に秘密あり!体長の20倍を跳ぶジャンプの仕組み

トノサマバッタの代名詞といえば、なんといっても強力なジャンプ力!草むらで捕まえようとしても、一瞬で視界から消えるほどのスピードですよね。

実はあのジャンプ、自分の体長の約20倍、距離にして約1メートルも跳ぶことができるんです。

もし人間が同じ能力を持っていたら、ビルを軽々と飛び越えてしまう計算になります。この超人級のパワーの源は、太く発達した後ろ脚に隠されています。この脚はただの筋肉の塊ではなく、ジャンプ力を最大化する驚きの「仕掛け」が満載です。

  • 強力な筋肉
    後ろ脚の大部分を占める太い筋肉が、パワーを生み出すエンジンです。
  • 弓のような板
    関節内部には、エネルギーを溜め込むための弓のような特殊な板があります。これを筋肉でグッと引き絞ります。
  • 一気に解放
    溜め込んだエネルギーを一気に解放することで、爆発的な推進力を得ます。パチンコや弓矢と同じ原理です。
  • 衝撃吸収の仕組み
    ジャンプの威力は凄まじく、関節を痛めるほど。そのため、衝撃をうまく逃がすための柔らかい部分も備わっています。

このように、高性能なバネと安全装置を巧みに組み合わせることで、トノサマバッタは毎回安定して、力強い大ジャンプを繰り出すことができるのです。

まさに自然が作り出した精密機械のようですね。この驚異的な脚力があるからこそ、天敵から素早く逃げたり、広大な草地を効率的に移動したりできるわけです。

ただのジャンプじゃない!跳躍から繋ぐ長距離飛行のテクニック

トノサマバッタのすごいところは、ジャンプ力だけではありません。あのジャンプは、実は壮大な空の旅への「離陸」の合図なんです。

高く跳び上がった後、巧みに4枚の翅を広げて羽ばたくことで、一度の飛行距離はなんと最大50メートルにも達します!これはもう、ジャンプというより「飛行」と呼ぶにふさわしい移動能力です。

ジャンプと飛行、それぞれの役割を見てみましょう。

能力詳細
跳躍力(ジャンプ)後ろ脚のバネを使い、瞬発的に約1メートルの距離を跳びます。主に敵からの緊急回避や、飛行のための初速を得るために使われます。
飛行能力(フライト)ジャンプで得た勢いを利用して空中で翅を広げ、長距離を移動します。前の翅と後ろの翅を巧みに使い、最大で50メートル先まで飛んでいきます。

この長距離飛行を可能にするのが、特殊な構造の翅です。普段は硬くて細い前の翅の後ろに、扇子のように折りたたまれた薄くて広い後ろの翅が隠されています。

空中ではこの後ろの翅を一気に広げ、大きな揚力を得るのです。さらに、ただまっすぐ飛ぶのではなく、鳥などの天敵から身を守るため、空中でジグザグに軌道を変える巧みな飛行テクニックも持っています。

これにより敵は狙いを定めづらくなり、捕食されるリスクを下げているのです。ジャンプで危険を回避し、飛行で安全な場所へ。自然界を生き抜くための、洗練されたサバイバル術といえるでしょう。

孤独な緑から黒い大群へ!相変異という不思議な生態

トノサマバッタは、実は「変身」能力を持っている昆虫だって知っていましたか?普段は草むらに隠れる緑色なのに、仲間が増えると黒くて攻撃的な姿に変わるんです。

この現象は「相変異(そうへんい)」と呼ばれ、彼らの生存戦略の核となる、とても不思議でドラマチックな生態です。ここでは、その驚きの変身の秘密に迫ります!

緑色でおとなしい「孤独相」と黒く攻撃的な「群生相」

特徴孤独相(こどくそう)群生相(ぐんせいそう)
育つ環境仲間が少ない(低密度)仲間が多い(高密度)
体色緑色(保護色)が基本黒や褐色系の警告色
性格おとなしく単独行動を好む活発で集団行動を好む
体の特徴跳躍に適した長い後ろ脚長距離飛行に適した長い翅
主な行動定住してあまり移動しない大規模な集団移動(飛蝗)を行う

トノサマバッタの相変異には、大きく分けて2つの姿があります。

それは、のんびり暮らす「孤独相(こどくそう)」と、大群で移動する「群生相(ぐんせいそう)」です。同じトノサマバッタとは思えないほど、見た目も性格も、そして体のつくりまで全く異なります。

普段私たちが見かけるのは、ほとんどが緑色でおとなしい孤独相のほうです。彼らは敵から見つかりにくいように、草木に溶け込む保護色をしています。単独で生活するのを好み、縄張り意識も強くありません。

一方、群生相は黒っぽい体色で、性格も非常に活発で攻撃的になります。仲間と群れることを好み、その姿はまるで別種の昆虫のようです。

この2つの姿は、彼らが置かれた「混雑具合(個体群密度)」によって決まります。周りに仲間が少ない環境で育てば孤独相に、仲間がたくさんいる過密な環境で育てば群生相へと変化するのです。

この変化は、限られたエサをめぐる競争を避け、新天地を求めて大移動するために獲得した、驚くべき生存戦略なのです。

変身のスイッチは「おしくらまんじゅう」だった!

では、どうしてトノサマバッタはこれほど劇的な変身を遂げるのでしょうか。その最大のスイッチは、実は仲間との「物理的な接触」にあることがわかっています。

エサが豊富な場所では、バッタたちは広々と暮らせるので孤独相のままでいられます。しかし、エサが減ってきたり、天候の影響で狭い場所に集まらざるを得なくなったりすると、状況は一変します。

いわば、バッタたちの「おしくらまんじゅう」状態が始まるのです。このとき、幼虫の後ろ脚が他の個体と頻繁にぶつかり合う刺激が、脳に伝わって変身のスイッチを入れます。

この刺激が一定時間続くと、体内で特殊なホルモンが分泌され、次のような変化が起こり始めます。

  • 体色の変化
    保護色である緑色から、目立つ黒っぽい色へと変わっていきます。
  • 行動の変化
    仲間を避ける行動から、逆に仲間と引き寄せ合う行動へと変わります。
  • 体の構造変化
    世代を重ねるにつれて、より遠くへ飛ぶために翅は長く、体はシャープな飛行型へと変化していきます。

この変化には正のフィードバックが働き、一度群れ始めると、さらに接触の機会が増えて群生相化が加速し、やがては空を覆うほどの大群となってエサを求めて大移動を始めるのです。

単なる混雑から、大規模な災害「蝗害(こうがい)」へと繋がる、まさに壮大な自然のドラマの始まりと言えるでしょう。

災害からヒーローの原点まで。蝗害とカルチャー秘話

群れになったトノサマバッタって、実は畑を空っぽにしちゃうほどの、ちょっと怖い「災害」になることもあるんです。でも、そのパワフルさから、みんなが知ってるあのヒーローが生まれたって話、知ってました?

ここでは、トノサマバッタの「怖い顔」と、みんなをワクワクさせる「ヒーローの原点」っていう、二つの顔をのぞいてみましょう!

空が真っ黒に!?北海道をパニックにさせたバッタの大群

当時のパニックぶりがわかるポイント

  • とんでもない数: 駆除されたバッタの数は、記録上なんと1200億匹以上!でも、これでも発生した全体の一部だったというから驚きです。
  • 国をあげての大作戦: 開拓時代だった北海道にとって、この問題はあまりに深刻。国が直接乗り出して、今のお金に換算すると数十億円以上ともいわれる費用をかけて戦ったんです。
  • 最後の決め手は…: 人々の必死の努力もむなしく、この大発生を終わらせたのは、皮肉にも自然の力でした。1884年の冷たい長雨が、バッタの卵や幼虫をダメにして、ようやくパニックは終わりを告げたそうです。

蝗害(こうがい)」って言葉、聞いたことありますか?これは、バッタの大群が農作物などをぜーんぶ食べ尽くしちゃう、とっても怖い災害のことなんです。

日本ではあまりピンとこないかもしれませんが、なんと明治時代の北海道で、本当にあったお話なんですよ。主役はもちろん、トノサマバッタ。

1880年頃から数年間、北海道の十勝地方で大発生したバッタの群れは、山を越えて北海道中に広がりました。その数はものすごくて、「バッタの群れで太陽が隠れて、お昼なのに夕方みたいに暗くなった」なんて記録も残っているくらいです。

群れが去った後の畑は、ぺんぺん草も生えていない状態…。これには当時の政府も「大変だ!」と大慌てで、巨額のお金をかけて駆除作戦を開始しました。

作戦のひとつが、バッタの卵や幼虫を買い取って、土に埋めてしまうというもの。その時に作られた「バッタ塚」は、今でも北海道のいくつかの場所に、歴史の証として静かに残っています。

この出来事は、トノサマバッタが集団になると、どれだけ大変なことになるかを教えてくれる、日本の歴史のちょっと怖いけど、大切なエピソードなんです。

みんなのヒーロー、仮面ライダーはバッタがお手本だった!

畑を荒らす怖いイメージがある一方で、トノサマバッタのすごいパワーは、日本のカルチャーにも大きな影響を与えました。その代表選手が、みんな大好き「仮面ライダー」です!

仮面ライダー1号がバッタをモデルにしているのは、とっても有名ですよね。でも、「なんで害虫のイメージがあるバッタがヒーローに?」って不思議に思いませんか?

実はそこには、バッタの能力に対する「スゴい!カッコいい!」っていう気持ちが詰まっているんです。

仮面ライダーのカッコよさバッタのすごい生態
ライダーキックでおなじみのジャンプ力自分の体の何十倍も跳べる、トノサマバッタのパワフルな脚力が元になっています。
悪に改造されたヒーローという設定普段の緑の姿から黒い大群へと激変する「相変異」。このミステリアスな生態が、悪の組織に改造されたヒーローという設定と、どことなく似ていませんか?
素早いアクション敵からサッと身をかわす俊敏な動きも、バッタのサバイバル術がお手本になっています。

悪の秘密結社ショッカーに捕まり、バッタの能力を持つ改造人間にされてしまった主人公・本郷猛。でも彼はその力を悪のために使わず、みんなの平和を守るために戦うことを選びます。

「災害」という悪いイメージを持たれがちなバッタの力を、あえて「正義の力」として描いたからこそ、仮面ライダーはこんなにも特別でカッコいいヒーローとして、今もずっと私たちを魅了し続けているんですね!

まとめ

トノサマバッタのスーパーヒーロー級の能力から、ちょっぴり怖い歴史、そしてカルチャーとの意外な関係まで、楽しんでいただけましたか?

この記事でご紹介した、トノサマバッタのすごいトリビアを、最後にもう一度おさらいしてみましょう!

  • 驚異の身体能力がすごい!
    自分の体の20倍もの距離を跳ぶジャンプ力の秘密は、強力なバネを仕込んだ後ろ脚にありました。さらに、ジャンプからの長距離飛行で、最大50メートルも移動できる、まさに昆虫界のアスリートでしたね。
  • 環境で姿を変える「相変異」が不思議!
    普段は緑色でのんびり暮らす「孤独相」が、仲間が増えて「おしくらまんじゅう」状態になると、黒くて活発な「群生相」に大変身!見た目も性格もガラリと変わる、不思議な生態を持っていました。
  • 人間社会との関わりが面白い!
    群れになったバッタは、明治時代の北海道で「蝗害」という大きな災害を引き起こした歴史がある一方、その驚異的な能力は「仮面ライダー」のモチーフとなり、今も私たちに夢を与えてくれるヒーローの原点にもなっていました。

この記事を読んでくださったあなたが、次に草むらでトノサマバッタに出会った時、きっと「ただのバッタ」ではなく、たくさんの物語を秘めた小さなスーパーヒーローに見えるはずです。ぜひ、そのカッコいい姿を探してみてくださいね!

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